2018年1月16日

『 末代物という思想 』

2018.1.11発行田中優無料メルマガより

■ 日本人がなぜ貧しいか

 考えてみたことがあるだろうか。日本人だけがなぜこれほどの収入を得ながら貧しいのかと。確かに政治のせいもあるだろう。「実質可処分所得」の計算では、1998年の107.4という指数に対して94.4を記録している。しかも高所得者は収入が増えて、下から半分の人たちの収入と同じだけ稼いでいる高所得者は、上位たった40人だという。しかもその人たちには、税逃れをするためのタックスヘイブンもある。だから貧しくなってきているというのもあるだろう。

 しかしそれ以上に構造的な問題もある。住宅に費やす金額が多すぎる上に、その住宅が長持ちしない問題だ。新築住宅は一歩足を踏み入れた途端に価値が五分の四に下がり、その後わずか15年で実質価値を失うのだ。ここには建て替えに必要な更地に戻す費用は含まれていない。更地にするための解体費用が300万円かかるのなら、土地の正味の価値はマイナス300万円減らさなければならない。


 それほど早く価値をなくしてしまうことに、日本人は斟酌しないまま家を建て、解体していく。まるで当たり前のことだと言わんがばかりに。

 しかしヨーロッパでは建物を数百年使うのが当たり前だし、アメリカですら100年経った住宅でも価値は四分の一は残っている。台風や火事、地震のせいと考えるかもしれない。しかし人口の密集した長屋でなければ、長く使われることを前提にした家を建て、類焼しない距離を取り、地震の衝撃を逃がすために土台は石の上に乗せた石場建てにしていた。こんな短命な家ばかりにしたのは戦後になってからだ。日本が伝統的に短命な家を建てるということはない。

 ところがこの住宅費が家庭の支出の中では最大部分を占めるのだ。しかしその家は、通常30年経たずに建て替えられる。一生涯の間に三回も建て替え費用が必要になるのだ。これでは豊かになれるはずがない。

 男の住宅ローンは平均で34歳から始まる。つまり定年退職になるころには建て替えが必要なのだ。すると男の人生は極めて貧しいものになる。学校を卒業してから34歳になるまでローンの頭金を貯め、その後はずっと支払いに追われ、定年退職の頃には建て替えが必要になる。そこで退職金をはたいて建て替えし、次の建て替えの頃には人生が終わる。ほとんど家のローンを払うための一生になる。

 それを嫌って賃貸住宅にしたなら、定年まで払い続けても自分のものにはならないのだ。しかし退職後も家賃は続く。年金から払ったとしても自分のものにはならない。これが平均的な資産を持たない人の人生だとしたら、虚しい一生だと思わないだろうか。


 そもそもの日本には「末代物」という考え方があった。家具を買うときに、ちょっと無理してでも次の代、その次の代へと使い継いでいけるものを選ぶことだ。

 よく美化される江戸時代、森だけは持続可能ではなかった。森は家を建てるのに使われる建材だけでなく、煮炊きに使われるエネルギー材として、建材の二倍の木材を必要としていた。そのために森は使い尽され、浮世絵に描かれたような風景がごく当たり前の風景だった。

 そのような大事な木材から作った家具は、末代まで持つようにと先の世代の人たちのためを思って選ばれた。木も同様だ。木を植えたとしても使える成木になるまでにスギで50年、ヒノキなら100年かかる。ということはきこりの人たちに自分の利益のために木を植えた人はいないことになる。次の世代を考えなければ、利益にならないからだ。

 そのような心性の人たちが選んだのは「末代物」だった。

人々が持続可能な形で暮らせるように、自分の暮らしを成り立たせるのにどれほどの土地面積が必要になるかを計算する「エコロジカル・フットプリント(環境的にみた足跡)」という計算式がある。その結果では、日本人が今の暮らしを維持するには地球が1.6個必要になるのだ。この地球は一個しかないのに。

 中でも大きな負担をかけているのは石油輸入と海外からの食糧輸入、そして短期で使い捨てられてしまう資源の浪費だった。この解決をしなければ人類は生き残れない。そう言うと鼻で笑われそうだが、それでも世界は大真面目に取り組んでいる。


 まずは石油に頼らずに自然エネルギーに変えていこう、食料は輸入に頼るのではなく地産地消にしていこうと。そして短命に買い替えるのではなく、長く使っていこうと。

 でも考えてみてほしい。安い家具ばかりになったのはいつからだったかと。かつては長く使うことを前提にして、高いけれどずっと使えるものにしていた。


海外の森を壊して、接着剤や殺虫剤をサンドしたベニヤ板の家具などなかったの
だ。ほんのわずかな期間に、私たちの暮らしは破滅的なものに変えられたのだ。
 それは今だけの利益を求めた人々の行動だった。そして今、私たちはその修復を求められている。

 「末代物」の思想を取り戻したい。今回、自動車に長く乗ったら税金が高くなるように制度が改悪された。逆だろう。私たちが生き続けていくためには、長く使う側を優遇しなければならない。むしろ車の税金は車検とは別にし、長く乗るほど安くなる仕組みにすべきだろう。「今だけ、カネだけ、自分だけ」と言われる「三だけ主義」と呼ばれるような自分勝手が世界を破滅の淵に追い込んでいる。

 逆でいいのではないかと思う。「未来にカネでなく、人々のため」という生き方をすることの方が楽しいのではないかと。そう思ってみたときに私たちの今の生き方の異常さが際立って見える。そんな生き方をみんながしていたら滅亡してしまうから、次の世代に残せるものを増やした方がいい。我慢するとしても、それが小さな子どもたちの人生に役立つのなら、耐えられるかもしれない。

 やっとのことで生まれた小さな命を、犠牲にしてまで豊かになりたいとは思わない。それが普通の想いだと思うのだ。






写真の絵本棚、子どもたちが座っている腰掛、いすセットは
どちらも化学物質フリー&無垢材のすまうとさん手作りのもの

☆田中優もオススのすまうとさんの家具は、ビッグモリーズ天然住宅でも取り扱いをしています。

2018年1月11日

1/20(土)・21(日)天然住宅 無料完成見学会~自然素材でつくる9坪ハウス~

自然素材でつくる9坪ハウス

1月20日(土)・21日(日)品川区西品川でオープンハウスを開催します。
完全予約制・両日4組限定となりますので、お早めにお申し込みください。

1月に完成お引き渡しを迎える新築の住宅です。

接道する道の幅が狭く、大きくセットバックしての建築です。
規模に制限がるものの、ゆったりと過ごせる空間をつくりました。

玄関ホールにゆとりをもたせ、家全体を温めるペレットストーブを設置。
2Fのリビングダイニング・キッチンは仕切りのない空間にしています。
さらに屋上に広いバルコニーをつくりました。

北向きの土地の中でリビングは明るく、寝室は落ち着ける間取に。
家事動線はコンパクトにする一方、ゆっくりとくつろげる場所を確保しています。

国産無垢材100%、合板集成材不使用、自然素材をふんだんに使用した住宅です。

無垢杉の香りと、柔らかさ、暖かさ、自然素材でつくる空間の気持ちよい空気感をぜひ体感いただければと思います。


天然住宅特有の「新築のにおい」をぜひ体感しにいらしてください。


■日時 
1月20日(土)・21(日) 10時~16時 (予約制・両日4組様限定)

■場所 東京都品川区 (東京急行電鉄大井町線「下神明」駅から徒歩)

■参加費 無料

■内容 オープンハウス型見学会(スタッフがご案内いたします)
    (田中優は都合により出席できません

■申し込み 下記フォームよりお申込みください
 http://tennen.org/event/shimoshinmei.html



★建物データ
敷地面積:45.41平方メートル
延床面積:57.75平方メートル
間取り:1LDK+屋上バルコニー
工法:木造(強化筋交い)

2/1まで!2018年度「ネオニコチノイド系農薬に関する企画」公募中です



田中優も審査として参加していますabt(アクトビヨンドトラスト)よりお知らせです。


2018年度「ネオニコチノイド系農薬に関する企画」公募のお知らせ

予防原則を踏まえ、ネオニコチノイド系農薬の影響について独立の立場から検証する調査・研究の企画を募集します。今年度は「調査・研究」カテゴリー限定で、1件あたり上限100万円の助成です。

一般にはまだあまり知られないまま、お米から果物まで、ときには「減農薬」の切り札として用いられ、シロアリ駆除剤や防虫剤として身近な暮らしにも入り込んでいるネオニコチノイド系化合物(およびフィプロニル)――。


有機リン系農薬の代替物として1990年代に開発されて以来、国内外を問わず使用が急拡大するネオニコチノイド系農薬は、その浸透性・残留性・神経毒性から、ミツバチの大量失踪が示唆するように生態系と生物多様性全体を脅かすばかりか、子どもたちの脳の発達にも悪影響をおよぼす可能性が指摘されています。

EUでの使用禁止措置をはじめ世界的に研究や規制が進んでいますが、日本では各地で民間の削減努力が生まれつつある一方、全体的にはいまなお規制緩和の方向です。



本助成は、予防原則を踏まえて、製薬メーカーの意向や現行の行政判断に左右されない独立の立場から浸透性殺虫剤の影響を検証する調査・研究を支援します。

その成果が、浸透性殺虫剤の被害を防ぎ、規制のあり方や一般市民の消費行動を変える働きかけに活かされたり、すでに多くの環境化学物質や放射能汚染と向き合う私たちが、浸透性殺虫剤にどう対処していくべきかを探る公共的な議論を喚起したりと、問題解決に向けた効果的な取り組みに資することを期待しての公募です。ふるってご応募ください!

1. 助成プログラム名称
ネオニコチノイド系農薬に関する企画
今年度は「調査・研究」カテゴリーに限定した公募です。

2. 助成金額:1企画あたりの助成額:上限100万円

3. 助成対象期間: 2018年4月1日~2019年3月31日の間に実施される活動

4. 応募受付期間: 2017年12月12日~2018年2月1日

5.問い合わせ先:
一般社団法人アクト・ビヨンド・トラスト 助成係
電話:070-6551-9266(月~金。10:00~19:00)
Email:grant@actbeyondtrust.org
http://www.actbeyondtrust.org
https://www.facebook.com/actbeyondtrust


応募要項、申請書などの関連書類一式はこちらからダウンロードしてください。
http://www.actbeyondtrust.org/program/kobo2018/



なお、abtではネオニコチノイド系農薬の問題点について当法人サイトに独自のアーカイブ(資料集)を設け、2016年末には、科学者による知見と参考文献を一般向けにまとめたダイジェスト版「ネオニコチノイド系農薬の危険性を、科学者が警告しています。」も用意しました。現在、世界的な研究動向はさらに進展していますが、応募の検討材料にしてください。

▼ネオニコチノイド系農薬問題アーカイブ
http://www.actbeyondtrust.org/link/


▼「ネオニコチノイド系農薬の危険性を、科学者が警告しています。」
http://www.actbeyondtrust.org/wp-content/uploads/2016/04/tsuikakobo_kikensei_2016.pdf

2018年1月7日

<NEW>『農業を追い詰める農薬開発』(公式webshop)

2018.1.5 田中優公式 web shopにて

『農業を追い詰める農薬開発(前・後編セット)』
 
をアップしました!

2014年3月15日、3月30日に発行しました、有料・活動支援版メルマガ「田中優の未来レポート」のバックナンバーです。

前・後の2記事のセット版
A4サイズのPDFで56ページ(原稿部分は47ページ)分です。


最近あちこちで耳にするようになった「ネオニコチノイド系農薬」。
本当に人体には影響ないの?
どんなものに使われているの?
じゃあ農薬を使わない農業ってできるの?

ご興味のある方はぜひご一読ください。


主な内容はこちらです

・ネオニコチノイドとの遭遇~美味しんぼ出演~
・日本は農薬を使いすぎ
・日本で一番使われている都道府県は
・ネオニコ系農薬の危険性ー製品名掲載ー
・ネオニコチノイドとミツバチ
・農業をダメにする農薬マフィア
・ネオニコ農薬の持続性、水溶性、対ハチ毒性
・マツクイ虫予防散布の前後に起きたこと
・人体影響
・被害の実例
・気をつけなければならない食品~洗っても落ちないネオニコチノイド~
・あなたの身の回りであちこちに使われるネオニコ農薬
・生き物に聞けは農薬は不要だ



ダウンロード版購入はこちらより
https://tanakayu.thebase.in/items/9473527


印刷物版購入はこちらより
印刷は裏表のカラー、ホチキス止め、ご購入より1週間以内にお届け予定。
送料込みのお値段です。
https://tanakayu.thebase.in/items/9473384









2017年12月28日

『懐かしい金沢への旅』~フェアトレードと土地の再生~


2017.11.30に発行しました田中優有料・活動支援版メルマガは、
『懐かしい金沢への旅』です。

11月に岡山から町内の仲間と一緒に、田中優の友人でもあり「 小さな農業で稼ぐコツ 」などでも有名な西田栄喜さんの畑を見学しようツアーを行いました。


 
たった30a(アール)、サッカーコートの半分も満たない面積の畑で1200万円の売り上げを出しているとのことで、全国各地からたくさんの見学希望者がその小さな畑(←失礼!^^;)にやってきます。

その西田さんの畑を見る前に、お昼をどこでとろうかとなり、やはり以前から友人の小浦むつみさんがされているフェアトレードショップ「コミュニティトレードal」(のっぽくんの2階)へ行くことにしました。

当日の申し出にもかかわらず快く対応して下さった小浦さんやスタッフの方々に感謝です。小浦さんと田中優は本当に久しぶりの再会だったようです。

岡山に帰り他の友人へ話をしたところ「フェアトレードって何?」という質問を受けました。

そこでこの号では、

・フェアトレードとは
・世界の貧困
・ピープルツリー
・小浦さんとの出会い
・ap bankでの融資
・ピースバンクいしかわ 
 などが書かれているのと、

このツアーで予想していなかった収穫がありました。


偶然にも移転オープンした1か月後にのっぽくんへおじゃましたわけですが、その駐車場が、なんと田中優が注目し始めていた「一般社団法人 大地の再生」の「空気の流れる大地の再生」を施したところだったのです!

『今の土地はコンクリートなどの構造物によって窒息させられている、それを再生させるのに大事なのが空気の通る土地づくりなのだ』 
(大地の再生 矢野さん)

(この大地の再生方法についてはその次号の田中優有料・活動支援版メルマガ 2017.12.15号で詳しく書いています)
 


そして西田さんの畑の視察レポートも。


炭素循環農法で作られたえぐみのない野菜に岡山からのメンバーも満足の様子でした^^
そしてここでも「通気性」についての話がありました。

土地の再生、土づくり、畑づくりなどに興味のある方もぜひ!
 

この号はバックナンバーより2017.11月分ご購入でお読み頂けます。こちらより↓
http://www.mag2.com/m/0001363131.html

2017年12月26日

2018年夏上陸「日本版グラミン銀行」はサラ金とこの国の貧困に勝てるか?=田中優

2017.12.23発行しました!
「日本版グラミンバンク設立」に向けて書いた原稿です。
 171221muhammad_yunus_eye

(写真は掲載サイトより)

2018年夏上陸「日本版グラミン銀行」はサラ金とこの国の貧困に勝てるか?=田中優


今、設立の準備が進められている「日本版グラミン銀行」は、バングラデシュのグラミン銀行と同様の仕組みで小口の融資を行い、お金に困っている人々の生活や自立を支援するものだ。私はこの試みにエールを送りたい。ぜひ実現してほしいと思う。しかしそのためには、日本の特殊な状況を乗り越える必要がある。(『田中優の‘持続する志’(有料・活動支援版)』)
※有料メルマガ『田中優の‘持続する志’(有料・活動支援版)』好評配信中。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

「日本の貧困」をマイクロファイナンスで克服するための条件

「グラミン銀行」とは?

グラミン銀行を知っているだろうか。バングラデシュで土地なし農民など貧しい人たちに融資し、生活を向上させ、多くの人に未来の可能性を切り開いてみせた、市民による市民のための銀行だ。・・

 全文はこちらよりご覧ください⇒ http://www.mag2.com/p/money/352614


<<主な内容>>

・「日本の貧困」をマイクロファイナンスで克服するための条件
・「グラミン銀行」とは?
・創設者モハメド・ユヌス氏の抱いた疑問
・なぜ男性ではなく女性に融資?
・バングラ最大の銀行に
・「日本版グラミン銀行」に立ち塞がる我が国の問題点
・日本版グラミン銀行は「サラ金」に勝てるか?
・「日本の貧困」を救うための条件


他、マネーボイスでの田中優記事はこちら↓↓

官僚だけが大儲け。日本を破壊する「水道民営化」のトリックに騙されるな=田中優 (2017.9.28)


「人をお金に依存させる」ベーシックインカムの問題点と貧困解決の重要点=田中優 (2015.12.10)

2017年12月25日

『 病気の朝 』

 8月16日、朝早く起きたぼくは、子どもが起きる前に一仕事しようとパソコンに向かった。それまで特に不調だったわけではない。強いて言えば前日、地域で育てた無農薬の小麦を石臼で挽いたうどんを食べたとき、それほど美味しいという感動を受けなかったことぐらいだ。

 パソコンの画面を見ているとき、突然にそれは襲ってきた。滅茶苦茶な眩暈だった。見ているものが突然、左に回転し始めて止まらなくなった。座っていることすらできずにそのまま床に倒れ込んだ。それでも強い回転の渦に呑まれ、すさまじい吐き気に襲われた。


 吐き気はものすごくあるのに、起きたばかりの胃の中には吐き出すものがなかった。吐き気で気持ち悪いのだが、音は聞こえるし力も入る。窓ガラスを体に引き寄せるようにしてガラスの外に顔を出した。咄嗟に吐き出す。酸っぱい臭いがするので昨日食べた胃液の残りだろう。

 しばらくそうしていると、妻が降りて来てくれた。子は降りてきてぼくの姿を見ると、何も言わずにただ大粒の涙を流していた。意識に障害はない。しかし目を開けていられない。ぐるぐる回って吐き気がひどくなるからだ。


 自分で分析してみた。5年前に脳間出血したことがある。そのときと比較しても脳に損傷があるようには思えなかった。音も聞こえるししびれる箇所もない。
 脳の出血ではないと思った。妻が「救急車を呼びましょう」と言ってくれた。
こまま改善を待つのも良いが、前回の出血があるから単なる受診では納得してもらえないだろう。

 いくつか病院名を言ってくれる。「・・脳神経外科病院」、そこでなければ再度受診せざるを得なくなる。そこで「その病院に相談してみてくれ」と答える。受診可能との返事を聞き、「救急車を呼んでくれ」とお願いした。目すら開けられないのだから、それ以外に受診の方法がないからだ。

 そしてこのままストレッチャーに乗せられて運ばれるのだろうからと、吐き続けながらも窓の外にあるウッドデッキの上に横になった。しばらくすると救急車のサイレンが聞こえた。しかし目は開けられないままだ。ストレッチャーに乗せられて空き地に置いた救急車に乗せられた。 

「キュウキュウシャ 写真 フリー」の画像検索結果

(イメージ)


 救急隊員が病院に受け入れを確認した後に発車。救急車の中で検査のたに、日時や生年月日、住所などを聞かれる。すらすらと答えられるのだが、吐き気の症状は変わらない。病院に着いてストレッチャーで揺れながら運ばれる。想定していた通り、CTスキャンやMRI検査が始まる。目の状態を見るために、強制的にランプで目を検査される。それだけのことで吐き気がして少し吐いた。

 検査が終わると予想通り、命に危険のある病気ではないと言われた。そうなると脳本体の問題ではないのだから、三半規管のあたりの問題だろう。若い二人の脳外科医は緊張が解けたように「どうしようか」と言った。

 要は脳出血などではないのだから、緊急の処置が必要ないのだ。しかしぼくの側は相変わらずひどい吐き気で、動くことどころか目を開けることもではない。そして病室に運ばれることになった。

 病室に入ると点滴された。その中には眩暈の防止の薬が入っているそうだ。その日も翌日も何も食べられなかった。吐き気がひどいのに、食べても仕方ない。妻に土曜日から予定していたツアーに出かけられなくなったと友人に連絡してもらうようにお願いした。自分ではスマホの画面すら見られないのだから。

 翌日昼には退院した。ここは脳外科の専門医で、そうした人たちが運び込まれてくる。ぼくのような緊急度のない患者がいても邪魔になるだけだ。それは実際、検査直後から興味を急速に失った脳外科医の姿からも見て取れる。しかし吐き気は続いている。結局、車椅子で車まで運んでもらって妻の運転する車で自宅に帰る。

 病名は「前庭神経炎」だった。原因は未だにはっきりしていない病気で、風邪のウィルスなどが三半規管の「前庭」に入って炎症を起こしているらしい。驚くのはその突発性だ。何の前触れもなく突然に世界が回転しだすのだ。

 病院内よりは自宅の方がずっといい。有害化学物質フリーだから、自宅は吐き気を催させるものがない。しかし鋭敏になっているせいか、子どもの小麦粘土が臭い。ベネッセの「しまじろうの玩具」が臭い。『普通の家だったら吐き気で死ぬな』と思う。

 翌日にはふらつきながらも目が開けられるようになった。立って歩けるようになった。目が開けられるようになると早速スマホで調べてみた。「前庭神経炎」は突然に発症するが予後は良い。一週間程度で眩暈は取れることが多いと書いてある。

 5日ほどして、パソコンも見られるようになった。行くはずだったツアーの沢登りの様子の写真を見る。みんな無事に登ってきたようだ。自分が行けなかったことが悔しい。


 歳をとったせいか、病気が身近なことになってしまった。それでも今まで通り原稿を書き始めた。「あとどれぐらい生きられるのだろうか」という思いが頭を掠める。今進めていることぐらいはきちんと本にしておきたいと思う。もっとぜいたくを言うと山に登りたい、海に泳ぎに行きたい、沢登りにいきたい。それはきっと自分の摂生次第なのだろう。


 もっと生きないといけない。もっと貪欲に実験してみたい。そして地域活性のための新たな方法を考えたので、実現してみたい。経済の回転の仕方が変われば、地域に暮らすことが楽しくできて安心して地域で暮らせるようになる。

 そうすれば、「西暦3000年にはこの国の人口が数千人になって地方は無人の荒野になる」という、馬鹿げた予測も覆せるのだ。このことは発行している有料メルマガの2017.8.30号にも書いた。



 もっとしたいことがある。人生はなんと短いものなのだろうと思う。まだ死ぬ時期がわかったわけではないのだが。


-------

以上、2017.9発行 
※「未来バンク事業組合ニュースレター No.92/2017年9月」より抜粋

※PDF版はこちら
http://www.geocities.jp/mirai_bank/news_letter/MB_NL_92.pdf



○●○  無料メルマガ 
「未来バンク事業組合ニュースレター」 ○●○

田中優が理事長を務めます未来バンク事業組合の無料メルマガです。
金融のスペシャリストでもある未来バンクの他メンバーたちによるコラムも必見です。
バックナンバーは「非公開」ですので、ご興味のある方はこの機会にぜひご登録ください

ご登録はこちらより http://archives.mag2.com/0001300332/

2017年12月21日

web shopに新商品登場!「セルフインフラ」が未来をポジティブに変える



田中優公式webshopに新製品が登場しました!

<ダウンロード>「セルフインフラ」が未来をポジティブに変える(前・後編セット)
https://tanakayu.thebase.in/items/9338040  540円


<印刷版>「セルフインフラ」が未来をポジティブに変える(前・後編セット)
https://tanakayu.thebase.in/items/9344402  580円(送料込み)



2017年8月15日、8月30日に発行しました、有料・活動支援版メルマガ「田中優の未来レポート」のバックナンバーです。

前・後の2記事のセット版

A4サイズのPDFで42ページ(原稿部分は32ページ)分です。

印刷物でお送りする場合は、裏表のカラー、ホチキス止めになります。


~主な内容~

・無人化する日本
・どうやって未来を変えるか
・別な価値基準の浸透
・生命基盤への疑問
・人々に必要なのはカネではなく生活基盤だ
・「末代物」の思想
・日本酒「桶買い」の悲劇
・中国と闘うか、欧米と闘うか 「水たまりに釣り糸を垂れない」
・ネット販売を利用して地域活性を
・田中優がオススメするお醤油、お酢、家具屋、蒟蒻屋さん、食堂などを紹介!



ショップのデザインが変わりました。

今後商品ラインナップやコンテンツも増やしていきます!

⇒ 詳細・ご購入はこちらより https://tanakayu.thebase.in/

只今オープニングキャンペーンとして、12/末まで使用可能な割引クーポンを発行中!

カートにてクーポン番号「VBYX54WD」を入力ください。
5%割引となります。



<商品ラインナップ>

「木を活かす」(上・中・下セット) 

印刷物・ダウンロード版



https://tanakayu.thebase.in/items/9209753
https://tanakayu.thebase.in/items/9198985


「主要農作物種子法廃止」にどう対処するか(上・中・下セット)

印刷物・ダウンロード版

https://tanakayu.thebase.in/items/9101979
https://tanakayu.thebase.in/items/9131792


◆書籍「環境破壊のメカニズム」(絶版本)
https://tanakayu.thebase.in/items/5038408



必見!「データで見る!アベノミクスの実績・・過去最高と過去最悪」

田中優より
「必ず見ておいた方がいいデータです。」

  ◇   ◇   ◇   ◇  

「〈データで見る!アベノミクスの実績〉
過去最高=昭恵氏に税金1億円超・富裕層資産・大企業の内部留保やタックスヘイブン投資、過去最悪=非正規雇用・ワーキングプア・賃金・家計消費・女性差別・過労死」


http://editor.fem.jp/blog/?p=3427  より(2017.10)


▼1 首相夫人が史上初めて税金1億1千万円ムダづかい
安倍昭恵氏が税金1億1千万円を私物化
(昭恵氏付職員の人件費だけで1億1千万円だから諸々もっと使っているはず)

▼2 ワーキングプアが過去最多、アベノミクスで23万人増
1年を通して働いても賃金が200万円以下が3年連続1,130万人

▼3 大企業の役員報酬は1.8倍増で過去最高(役員報酬1億円以上)
アベノミクスで役員報酬とワーキングプアが過去最高という典型的な「貧困と格差の拡大」の構図に

▼4 非正規労働者の割合は37.5%、非正規労働者数は2千万人を突破し過去最多

▼5 一方、正規労働者数は民主党政権時より安倍政権は少ない

▼6 実質賃金は過去最低、民主党政権時より16万円も賃下げ

▼7 大企業の内部留保は過去最高の328兆円、実質賃金は過去最低

▼8 大企業の配当金と経常利益は史上最高、民主党政権時より大企業正社員も賃下げ

▼9 大企業の労働分配率も民主党政権時より大幅に低下させた安倍政権

▼10 大企業の法人税負担は史上最低、中小企業の6割しか負担しない大企業

▼11 日本企業のタックスヘイブン(ケイマン諸島のみ)への投資額が過去最高

▼12 富裕層上位40人の資産は2倍増、貯蓄ゼロ世帯は427万世帯増
富裕層上位40人の資産が全世帯の半分の資産と同じに


▼13 「身を切る改革」で官製ワーキングプアは過去最多
今回の衆院選でも日本維新の会と希望の党が「身を切る改革」を公約していますが、
この「身を切る改革」で自治体の官製ワーキングプアは64万4,725人にも増えています。

▼14 35年間で最低の家計消費支出にした安倍政権

▼15 日本の教育への公的支出をOECD34カ国で最低とし、
教育無償化に逆行して私費負担も増加させた安倍政権

▼16 軍事費は過去最高
高校授業料無償化は安倍政権前の軍事費に戻すだけで今すぐ実現できる

▼17 男女格差を過去最悪の世界111位にした安倍政権
2016年の女性の所得は前年から10ポイントも減り男性の所得の半分にまで低下

▼18 過労死で毎日1人超の命奪い労災最多
安倍政権は「残業代ゼロ」でさらに労働者の命奪うのか

▼19 日本の有給休暇の消化率が2016年調査で3年ぶりに世界最下位

▼20 安倍政権5年の激増ベスト3は富裕層資産・大企業役員報酬・
自民党への献金、労働者には非正規化・賃下げ・貧困・過労死、
自民党が選挙に勝って得するのは富裕層と大企業役員だけ

2017年12月15日

まぐまぐ大賞 専門情報部門 第1位に選ばれました!

田中優より
「なんとうれしいことに、ぼくの支援版メルマガが部門別で第一位を受賞。
毎月二回もきちんと調べて書くのは大変だけど、受賞するのは励みになるなぁ。
発行したばかりだけど、次の原稿を考えてます。」




本日(2017.12.15)発表されましたまぐまぐ大賞2017において、
田中優の有料・活動支援版メルマガ「田中優の未来レポート」が、
ジャンル別賞 専門情報部門【第1位】に選ばれました!!!(^O^)/








突然の受賞のお知らせに驚きとうれしさでいっぱいです!

推薦くださった皆様、メルマガ購読者の皆様、ありがとうございました!

以下、田中優より受賞コメントです↓


「未来の推測は現状をそのまま延長したものではないはずだ。 しかし多くの論説が現状の延長にとどまっている。   未来は直線的に「こうなる」ものではなく、可能性を見出し「こうしたい」とするものであるはずだ。 新たな知性と創造力が求められる。   未来を想像するチャンスを見出すためのメルマガでありたい。 投票して下さった皆様に感謝です。」

今後も現実をきちんと見つめ、未来への希望や可能性を見出すメルマガを目指していきます!


田中優の未来レポート
¥540(税込)/月  毎月 15日・30日
http://www.mag2.com/m/0001363131.html