2008年11月6日

千載一遇のチャンスをものにする--バケツの底が抜けた世界経済

10月25日配信のメルマガ、 田中優の “持 続 す る 志”第24号より~~

反響がありましたので、ブログにも掲載いたします。

少し前のメルマガでしたので、
「折りしも政権が変わりかねないタイミングだ。」とありますが、お許しください。

では、どうぞ。


□◆ 田中 優 より ◇■□■□◆◇◆◇■□■□

千載一遇のチャンスをものにする

  --バケツの底が抜けた世界経済

 2008年10月、アメリカのリーマン・ブラザース倒産などをきっかけに、ついに世界経済の底が抜けた。原因はどうあれ、この不況は簡単に去りそうにない。


 銀行は国際決済銀行(BIS)によって、「自己資本比率が8%を超えない銀行は国際業務を禁じる」規制を受けている(BIS8%ルールと呼ばれている)。しかし逆に言えば8%あれば100%融資していいのだから、12.5倍融資できる。さらに融資した債権を証券化し、それをまとめて金融商品にして売っていた。さらにそれを買うファンドは証拠金として出すだけで、実際に持っている金額の10倍以上の取引をする。しかも時価でカウントする会計基準を利用していたから、儲けている間は限りなく資本金が膨らみ、融資の抵当になる資本金はとても大きくなっていた。しかしその際限ない信用膨張がふとしたきっかけで崩れた。

 しかもアメリカでの家のローンは、人ではなく住宅に貸す『ノン・リコースローン』だったから、借りた人は住宅を手放せばローンの残高はゼロになる仕組みだった。日本のバブル崩壊を招いた「土地は絶対に値下がりしない」という神話と逆に、アメリカでは「家は値下がりしない」はずだったのだ。しかしアメリカの現実の家は、乾燥した土地に建てたものであっても湿度によって壁が壊れる例も多いのだ。いくら外が乾燥していたとしても、人間は水を溜めた袋のようなものだから、建物にとって最も深刻な「湿気問題」からは逃れられなかった。残念ながら抵当に取った建物は崩壊していくだろう。

 ドルという基軸通貨は、アメリカにとんでもない権利を与えていた。1971年にニクソンショックによって「金との兌換」をやめた。発行できる通貨の量は、保持している金の量という規制が外され、変動通貨になって以来、今までに実に20倍以上のドルを発行したのだ。アメリカが豊かだったのはこのせいだ。ドルを持っていけばトヨタの最高級車がもらえ、石油ももらえた。生産性とは何の関係もなく、ただドルを印刷しさえすれば世界中がタダで商品をくれたのだ。


 このドルの価値が下がり始めたらみんな売る。ドルが売られるということはアメリカにドルが返ってくることだから、アメリカは何でもドル札の代わりに渡さなければならないし、もちろんドルはさらに暴落する。

 アメリカはおそらく破綻するだろう。最低でも10年以上、経済的に立ち直りはしないだろうとぼくは思う。アメリカが破綻を避けようとするなら、どうしてもサブプライム問題によって傷ついた金融機関を立て直さなければならない。これまで軍事費に回されていた米国債で集めたカネも、否が応でも金融建て直しに回さざるを得なくなる。ということは、世界の半分以上を占めていたアメリカの軍事費が減ることになる。これは千載一遇のチャンスではないだろうか。

 これまで悩んできたアメリカの軍事費が、減らせられるチャンスが巡ってきたのだ。ここで、正確に物事を思い返してみよう。多くの人が「そんなことをほじくってもしょうがない、どちらでもいい」と言っていた911事件を思い出してみよう。ペンタゴンに空いた穴は、突っ込んだはずのボーイング機よりもはるかに小さかった。当たったはずの芝生には跡もなく、テロリストとされたサウジの青年たちは無関係の人たちばかりで、一部は写真を勝手に使われただけで今もサウジに生存している。主犯格の操縦士は、下手すぎて飛行学校をクビにされている。911事件は少なくとも真実ではない。それを隠そうとする人間が犯人だとすれば、アメリカ政府以上に怪しい存在はいない。そのものつまり大規模なテロは、アメリカが仕組まない限り起こらないのだ。(だからぼくは常に、真実をつかむべきだと思うのだ)

 だとすると世界が軍備を失ったとしても、「テロとの戦い」自体が不要なのだから心配ない。もはや人類は、戦争の桎梏(しっこく)から離れられるのだ。

 沖縄の人たちにとっての悲願であった基地の撤去も、日本がタダでアメリカに提供している「思いやり予算」さえなくなれば実現される。毎年250億円ものプレゼントがなかったら、アメリカは日本に残ろうとは思わないはずだ。


「現在、世界各国で米軍の縮小・撤退が進む中、在日米軍は一向に縮小の兆しが見えない。カルダー氏は現在、米軍の海外基地は、地政学的な理由や戦略的な理由よりも、基地存置国と受入国の政治的な状況によって存続か否かが決定されていると語る。日本は、「解放者」として進駐した米軍との関係が良好だった上、政変がなく政権が安定していること、手厚い思いやり予算、そして、基地周辺住民との軋轢を減らす防衛施設庁などの充実した管理体制などがあり、政治的に基地が存続しやすい状況にあるため、基地の縮小が進んでいないとカルダー氏は分析する。」

(ビデオニュース・ドットコムのサイトより)http://www.videonews.com/on-demand/381390/001375.php

 この千載一遇のチャンスを活かせるかどうかの瀬戸際に、私たちはいるのだ。折りしも政権が変わりかねないタイミングだ。もし日本がアメリカを思うなら、このタイミングで軍事費を使い続けさせることはしないだろう。なぜなら世界経済は破綻の淵に追い込まれ、とりわけアメリカは絶望的な破産に陥るからだ。しかし日本の政治家が、単なる国内軍事メーカーの口利き屋だったなら、アメリカの軍事を維持させることだろう。

 エクアドル政府は米軍基地をすべて排除した。「基地を置かせろ」と迫ったアメリカ政府にエクアドルは簡単な条件を提示した。「同じ数だけ、エクアドルの基地をアメリカ領内に置かせてくれるなら」と。

 ぼくは独立心を持った、他国に依存しない日本に住みたい。