2018年1月16日

『 末代物という思想 』

2018.1.11発行田中優無料メルマガより

■ 日本人がなぜ貧しいか

 考えてみたことがあるだろうか。日本人だけがなぜこれほどの収入を得ながら貧しいのかと。確かに政治のせいもあるだろう。「実質可処分所得」の計算では、1998年の107.4という指数に対して94.4を記録している。しかも高所得者は収入が増えて、下から半分の人たちの収入と同じだけ稼いでいる高所得者は、上位たった40人だという。しかもその人たちには、税逃れをするためのタックスヘイブンもある。だから貧しくなってきているというのもあるだろう。

 しかしそれ以上に構造的な問題もある。住宅に費やす金額が多すぎる上に、その住宅が長持ちしない問題だ。新築住宅は一歩足を踏み入れた途端に価値が五分の四に下がり、その後わずか15年で実質価値を失うのだ。ここには建て替えに必要な更地に戻す費用は含まれていない。更地にするための解体費用が300万円かかるのなら、土地の正味の価値はマイナス300万円減らさなければならない。


 それほど早く価値をなくしてしまうことに、日本人は斟酌しないまま家を建て、解体していく。まるで当たり前のことだと言わんがばかりに。

 しかしヨーロッパでは建物を数百年使うのが当たり前だし、アメリカですら100年経った住宅でも価値は四分の一は残っている。台風や火事、地震のせいと考えるかもしれない。しかし人口の密集した長屋でなければ、長く使われることを前提にした家を建て、類焼しない距離を取り、地震の衝撃を逃がすために土台は石の上に乗せた石場建てにしていた。こんな短命な家ばかりにしたのは戦後になってからだ。日本が伝統的に短命な家を建てるということはない。

 ところがこの住宅費が家庭の支出の中では最大部分を占めるのだ。しかしその家は、通常30年経たずに建て替えられる。一生涯の間に三回も建て替え費用が必要になるのだ。これでは豊かになれるはずがない。

 男の住宅ローンは平均で34歳から始まる。つまり定年退職になるころには建て替えが必要なのだ。すると男の人生は極めて貧しいものになる。学校を卒業してから34歳になるまでローンの頭金を貯め、その後はずっと支払いに追われ、定年退職の頃には建て替えが必要になる。そこで退職金をはたいて建て替えし、次の建て替えの頃には人生が終わる。ほとんど家のローンを払うための一生になる。

 それを嫌って賃貸住宅にしたなら、定年まで払い続けても自分のものにはならないのだ。しかし退職後も家賃は続く。年金から払ったとしても自分のものにはならない。これが平均的な資産を持たない人の人生だとしたら、虚しい一生だと思わないだろうか。


 そもそもの日本には「末代物」という考え方があった。家具を買うときに、ちょっと無理してでも次の代、その次の代へと使い継いでいけるものを選ぶことだ。

 よく美化される江戸時代、森だけは持続可能ではなかった。森は家を建てるのに使われる建材だけでなく、煮炊きに使われるエネルギー材として、建材の二倍の木材を必要としていた。そのために森は使い尽され、浮世絵に描かれたような風景がごく当たり前の風景だった。

 そのような大事な木材から作った家具は、末代まで持つようにと先の世代の人たちのためを思って選ばれた。木も同様だ。木を植えたとしても使える成木になるまでにスギで50年、ヒノキなら100年かかる。ということはきこりの人たちに自分の利益のために木を植えた人はいないことになる。次の世代を考えなければ、利益にならないからだ。

 そのような心性の人たちが選んだのは「末代物」だった。

人々が持続可能な形で暮らせるように、自分の暮らしを成り立たせるのにどれほどの土地面積が必要になるかを計算する「エコロジカル・フットプリント(環境的にみた足跡)」という計算式がある。その結果では、日本人が今の暮らしを維持するには地球が1.6個必要になるのだ。この地球は一個しかないのに。

 中でも大きな負担をかけているのは石油輸入と海外からの食糧輸入、そして短期で使い捨てられてしまう資源の浪費だった。この解決をしなければ人類は生き残れない。そう言うと鼻で笑われそうだが、それでも世界は大真面目に取り組んでいる。


 まずは石油に頼らずに自然エネルギーに変えていこう、食料は輸入に頼るのではなく地産地消にしていこうと。そして短命に買い替えるのではなく、長く使っていこうと。

 でも考えてみてほしい。安い家具ばかりになったのはいつからだったかと。かつては長く使うことを前提にして、高いけれどずっと使えるものにしていた。


海外の森を壊して、接着剤や殺虫剤をサンドしたベニヤ板の家具などなかったの
だ。ほんのわずかな期間に、私たちの暮らしは破滅的なものに変えられたのだ。
 それは今だけの利益を求めた人々の行動だった。そして今、私たちはその修復を求められている。

 「末代物」の思想を取り戻したい。今回、自動車に長く乗ったら税金が高くなるように制度が改悪された。逆だろう。私たちが生き続けていくためには、長く使う側を優遇しなければならない。むしろ車の税金は車検とは別にし、長く乗るほど安くなる仕組みにすべきだろう。「今だけ、カネだけ、自分だけ」と言われる「三だけ主義」と呼ばれるような自分勝手が世界を破滅の淵に追い込んでいる。

 逆でいいのではないかと思う。「未来にカネでなく、人々のため」という生き方をすることの方が楽しいのではないかと。そう思ってみたときに私たちの今の生き方の異常さが際立って見える。そんな生き方をみんながしていたら滅亡してしまうから、次の世代に残せるものを増やした方がいい。我慢するとしても、それが小さな子どもたちの人生に役立つのなら、耐えられるかもしれない。

 やっとのことで生まれた小さな命を、犠牲にしてまで豊かになりたいとは思わない。それが普通の想いだと思うのだ。






写真の絵本棚、子どもたちが座っている腰掛、いすセットは
どちらも化学物質フリー&無垢材のすまうとさん手作りのもの

☆田中優もオススのすまうとさんの家具は、ビッグモリーズ天然住宅でも取り扱いをしています。

2018年1月11日

1/20(土)・21(日)天然住宅 無料完成見学会~自然素材でつくる9坪ハウス~

自然素材でつくる9坪ハウス

1月20日(土)・21日(日)品川区西品川でオープンハウスを開催します。
完全予約制・両日4組限定となりますので、お早めにお申し込みください。

1月に完成お引き渡しを迎える新築の住宅です。

接道する道の幅が狭く、大きくセットバックしての建築です。
規模に制限がるものの、ゆったりと過ごせる空間をつくりました。

玄関ホールにゆとりをもたせ、家全体を温めるペレットストーブを設置。
2Fのリビングダイニング・キッチンは仕切りのない空間にしています。
さらに屋上に広いバルコニーをつくりました。

北向きの土地の中でリビングは明るく、寝室は落ち着ける間取に。
家事動線はコンパクトにする一方、ゆっくりとくつろげる場所を確保しています。

国産無垢材100%、合板集成材不使用、自然素材をふんだんに使用した住宅です。

無垢杉の香りと、柔らかさ、暖かさ、自然素材でつくる空間の気持ちよい空気感をぜひ体感いただければと思います。


天然住宅特有の「新築のにおい」をぜひ体感しにいらしてください。


■日時 
1月20日(土)・21(日) 10時~16時 (予約制・両日4組様限定)

■場所 東京都品川区 (東京急行電鉄大井町線「下神明」駅から徒歩)

■参加費 無料

■内容 オープンハウス型見学会(スタッフがご案内いたします)
    (田中優は都合により出席できません

■申し込み 下記フォームよりお申込みください
 http://tennen.org/event/shimoshinmei.html



★建物データ
敷地面積:45.41平方メートル
延床面積:57.75平方メートル
間取り:1LDK+屋上バルコニー
工法:木造(強化筋交い)

2/1まで!2018年度「ネオニコチノイド系農薬に関する企画」公募中です



田中優も審査として参加していますabt(アクトビヨンドトラスト)よりお知らせです。


2018年度「ネオニコチノイド系農薬に関する企画」公募のお知らせ

予防原則を踏まえ、ネオニコチノイド系農薬の影響について独立の立場から検証する調査・研究の企画を募集します。今年度は「調査・研究」カテゴリー限定で、1件あたり上限100万円の助成です。

一般にはまだあまり知られないまま、お米から果物まで、ときには「減農薬」の切り札として用いられ、シロアリ駆除剤や防虫剤として身近な暮らしにも入り込んでいるネオニコチノイド系化合物(およびフィプロニル)――。


有機リン系農薬の代替物として1990年代に開発されて以来、国内外を問わず使用が急拡大するネオニコチノイド系農薬は、その浸透性・残留性・神経毒性から、ミツバチの大量失踪が示唆するように生態系と生物多様性全体を脅かすばかりか、子どもたちの脳の発達にも悪影響をおよぼす可能性が指摘されています。

EUでの使用禁止措置をはじめ世界的に研究や規制が進んでいますが、日本では各地で民間の削減努力が生まれつつある一方、全体的にはいまなお規制緩和の方向です。



本助成は、予防原則を踏まえて、製薬メーカーの意向や現行の行政判断に左右されない独立の立場から浸透性殺虫剤の影響を検証する調査・研究を支援します。

その成果が、浸透性殺虫剤の被害を防ぎ、規制のあり方や一般市民の消費行動を変える働きかけに活かされたり、すでに多くの環境化学物質や放射能汚染と向き合う私たちが、浸透性殺虫剤にどう対処していくべきかを探る公共的な議論を喚起したりと、問題解決に向けた効果的な取り組みに資することを期待しての公募です。ふるってご応募ください!

1. 助成プログラム名称
ネオニコチノイド系農薬に関する企画
今年度は「調査・研究」カテゴリーに限定した公募です。

2. 助成金額:1企画あたりの助成額:上限100万円

3. 助成対象期間: 2018年4月1日~2019年3月31日の間に実施される活動

4. 応募受付期間: 2017年12月12日~2018年2月1日

5.問い合わせ先:
一般社団法人アクト・ビヨンド・トラスト 助成係
電話:070-6551-9266(月~金。10:00~19:00)
Email:grant@actbeyondtrust.org
http://www.actbeyondtrust.org
https://www.facebook.com/actbeyondtrust


応募要項、申請書などの関連書類一式はこちらからダウンロードしてください。
http://www.actbeyondtrust.org/program/kobo2018/



なお、abtではネオニコチノイド系農薬の問題点について当法人サイトに独自のアーカイブ(資料集)を設け、2016年末には、科学者による知見と参考文献を一般向けにまとめたダイジェスト版「ネオニコチノイド系農薬の危険性を、科学者が警告しています。」も用意しました。現在、世界的な研究動向はさらに進展していますが、応募の検討材料にしてください。

▼ネオニコチノイド系農薬問題アーカイブ
http://www.actbeyondtrust.org/link/


▼「ネオニコチノイド系農薬の危険性を、科学者が警告しています。」
http://www.actbeyondtrust.org/wp-content/uploads/2016/04/tsuikakobo_kikensei_2016.pdf

2018年1月7日

<NEW>『農業を追い詰める農薬開発』(公式webshop)

2018.1.5 田中優公式 web shopにて

『農業を追い詰める農薬開発(前・後編セット)』
 
をアップしました!

2014年3月15日、3月30日に発行しました、有料・活動支援版メルマガ「田中優の未来レポート」のバックナンバーです。

前・後の2記事のセット版
A4サイズのPDFで56ページ(原稿部分は47ページ)分です。


最近あちこちで耳にするようになった「ネオニコチノイド系農薬」。
本当に人体には影響ないの?
どんなものに使われているの?
じゃあ農薬を使わない農業ってできるの?

ご興味のある方はぜひご一読ください。


主な内容はこちらです

・ネオニコチノイドとの遭遇~美味しんぼ出演~
・日本は農薬を使いすぎ
・日本で一番使われている都道府県は
・ネオニコ系農薬の危険性ー製品名掲載ー
・ネオニコチノイドとミツバチ
・農業をダメにする農薬マフィア
・ネオニコ農薬の持続性、水溶性、対ハチ毒性
・マツクイ虫予防散布の前後に起きたこと
・人体影響
・被害の実例
・気をつけなければならない食品~洗っても落ちないネオニコチノイド~
・あなたの身の回りであちこちに使われるネオニコ農薬
・生き物に聞けは農薬は不要だ



ダウンロード版購入はこちらより
https://tanakayu.thebase.in/items/9473527


印刷物版購入はこちらより
印刷は裏表のカラー、ホチキス止め、ご購入より1週間以内にお届け予定。
送料込みのお値段です。
https://tanakayu.thebase.in/items/9473384